この患者さん、タケキャブめっちゃ継続してるんですが、良かったんでしたっけ。レセプト大丈夫かしらん。
薬局側におけるタケキャブの長期処方とレセプトの対処についてまとめました。
タケキャブの添付文書の記載から長期処方について考察、レセプトはコメントを入れて対処するのが安全と言えそうです。
タケキャブの長期処方は適応と用量によっては可能
結論ですが、タケキャブは使用する適応症と用量によっては長期処方が可能と言えそうです。
なので、薬局側でも長期処方だからといって必ずしも疑義照会が必要なわけではありません。
まずは、タケキャブの効能効果の確認。
○ 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、低用量アスピリン投
与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、非ステロ
イド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再
発抑制
○下記におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減
少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃、ヘリコバ
クター・ピロリ感染胃炎
改めて見るとそんなに適応の種類は多く無いですね。
で、適応症別の用量と投薬期間は以下の通り。ピロリ除菌療法は除きます。
・胃潰瘍:1回20mg、通常、8週間まで
・十二指腸潰瘍:1回20mg、通常、6週間まで
・逆流性食道炎:1回20mg、通常4週間まで、効果不十分の場合は8週間まで、さらに、再発・再燃を繰り返す維持療法においては、1回10mg、効果不十分の場合は、1回20mg
・低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制:1回10mg
・非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制:1回10mg
どんな時に疑義照会する?
薬局側で疑義照会した方が良いケースは以下のような時と考えています。
・十二指腸潰瘍で6週間を超える
・(個人的に)逆流性食道炎で20mgで8週間を超える
最近の一番多い処方パターンは逆流性食道炎ですかね。これは長期の処方でも必ずしも用法用量からは逸脱しません。
ただ、個人的に逆流性食道炎の場合、維持療法は10mgから開始するのが正しいと読みとってます。
流れとしては、①20mgで8週間→②10mgで維持療法→③効果不十分→④20mgで維持療法と読める。
なので、20mgが8週間を超える場合は、念のため1回疑義照会するようにしています。
逆流性食道炎で最初から10mgの場合は、8週を超えても疑義照会していないですね。東京都の薬局ですが、今のところはそれでも返戻はないです。
薬歴はどう記載する?
胃潰瘍か、十二指腸潰瘍か、逆流性食道炎か、はたまたアスピリン・NSAIDsの再発抑制か、当たり前ですが確認できるようなら疾患名を患者さんに確認して薬歴に記載しています。
今回の処方が何週目までの投薬かになるかも記載していると良いですね。
胃潰瘍か十二指腸潰瘍とはっきりしている場合は、8週・6週を超えるとやっぱり疑義照会ですかね。当然、疑義した記録も残すのが良いでしょう。
逆流性食道炎でも20mgで8週を超える場合は、前述のとおり、疑義照会してその記録を残しています。
正直、疾患名はしっかり薬歴に残すと疑義照会の有無もハッキリしちゃう(胃潰瘍なら8週超えると必然的に疑義照会が必要…)ので、あえて濁しておくという方法もありますが、、、まぁそこは薬剤師の職能を発揮する一つの場面として頑張るのが正解でしょう。
あとは、疾患名がはっきりしなかったケース、全く話を聞けなかったケースですね。この場合は症状から予想される疾患名を「?」付きで書くか、症状すらも聞けなければ「消化器疾患がある様子」とかを「A」に書くのが最低限ですかね、少し苦しいですが。
タケキャブの長期処方のレセプト対策
タケキャブの長期処方があった場合、特に20mgの規格では薬局側もレセプト対策やったほうが安全でしょう。
個人的なことをいえば、東京都の薬局で今のところタケキャブで返戻がきた経験はほぼありません。
コメントを入力しているのが功を奏しているのか、そもそも審査がゆるゆるなのか。
いずれにしても今後は厳しくなっていく可能性は高いので、レセプト対策はしとくのが良いでしょう。
私の薬局では、タケキャブ20mgを8週間を超える処方されている患者さんでは必ずレセプト用のコメントを入れるようにしています。
ある程度処方の融通が効くと考えれる逆流性食道炎の場合でも、前述のとおり20mgで8週投与後は、一回10mgに減量すると読めるためです。
8週を超えた場合は疑義照会をするので、その結果20mgで継続となった場合は、「処方医師よりタケキャブ20mgで継続投与の指示あり」などのコメントを入れるようにしています。
(ちなみに10mgに減量になった場合は、重複投薬・相互作用等防止加算とってそっちのレセプトコメントを入れてます。)
タケキャブ10mgでの継続の場合は、いろいろなパターンがあるため8週を超える場合でも今のところ疑義照会もせず、レセプトコメントも入れてません。これが正解だとも思ってませんが、現状はこの方針で返戻がきてないのでひとまずは継続しています。
ただし、今後もこれで通用するかは不明です。そしてあくまで東京都の話です。もし返戻が来るようになったり、個別指導で指摘されたらもう少し丁寧な対応が必要かと思っています。