一包化の指示が来たとき、一包化の可否を瞬時に判断できるハンドブックとかあれば便利ですよね。
今回は一包化の可否がわかるハンドブックの有無とか、一包化の可否の判断方法とか、主な薬剤の一包化可否についてまとめてみました。
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一包化の可否を判断できるハンドブックは…
結論から言うと、一包化の可否を判断できるハンドブックは探してもありませんでした。
じほう社あたりが出版してれば良いかと思いましたけど無いようですね。
代替品になり得るのが、「錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブック」あたりですかね。
粉砕できるくらいなら、まぁ一包化もできるだろうと…。
ただ、薬剤師としてはこの理論だと若干アバウトすぎるかなというのと、お値段が5,800円とかするので、この目的だけで購入するのはちょっと躊躇われます。
一包化の可否の判断方法
では、一包化の可否をどう判断するか。
個人的に実践しているのは以下のような感じ
・添付文書で「一包化」などのキーワードで不可の記載がないかチェック
・添付文書でバラ包装があるかのチェック
・インタビューフォームのチェック
・メーカーに電話でチェック
・薬剤師の掲示板でチェック
エビデンスの高そうなサイトの情報でチェック
エビデンスが高そうなサイトとなると、日経DIのDI onlineで「一包化に不適な薬剤一覧」がありますが、そんなに記載が多く無いのと、2011年の記事なので少し古いのがネックです。(無料会員登録で見れます。)
オパルモンなど、その後一包化が可能となった例もあります。
あくまで不可のものがわかるだけなので、掲載されてないから一包化可となるわけでもありません。ただ、不可のものとして記憶しておくには結構向いている一覧かと思ってます。
添付文書で「一包化」などのキーワードで不可の記載がないかチェック
次のステップとして個人的に実践しているのは、当然添付文書の確認です。PMDAの添付文書の検索から、「ctrl+F」にて「一包化」や「分包」「包装」「PTP」「吸湿」などのキーワードでサイト検索を実施して、一包化の可否について書かれてないかを確認します。
例1 アボルブカプセル0.5mg
「包装」で添付文書内のサイト検索
「(光及び湿気を避けるため、PTP包装のまま保存すること)」が引っかかる
→一包化は不可と判断
例2 メトグルコ錠250mg/メトグルコ錠500mg
「一包化」で添付文書内のサイト検索
「本剤とオルメサルタン メドキソミル製剤等との一包化は避けること。一包化して高温高湿度条件下にて保存した場合、本剤が変色することがある。」が引っかかる
→オルメサルタンとの一包化は不可と判断
例3 スローケー錠600mg
「PTP」で添付文書内のサイト検索
「PTPシートから取り出して調剤しないこと。」が引っかかる
→一包化は不可と判断
添付文書でバラ包装があるかのチェック
添付文書で一包化に触れてない場合、ついでにチェックするのが包装単位です。
もし「バラ包装」があれば一包化が可能であるケースがほとんどです。
バラで保存できるくらいなので、一包化も大丈夫という感じですね。
ただ、この理屈は100%では無く、一包化の可を保証するわけではないので注意しましょう。
また、メトグルコなどはバラ包装がありますが、当然オルメサルタンとの一包化ができないことには変わり無いため、優先する情報が他にある場合なども注意しましょう。
インタビューフォームのチェック
添付文書で確信が持てない場合は次はインタビューフォームのチェックですね。
ただ、個人的な経験ではインタビューフォームで解決するケースがあまり多くありません。
インタビューフォームに書いてある場合は添付文書にも書いてある。
添付文書に一包化や分包に関する記載が無い場合はインタビューフォームにも特に記載がない、というパターンが多い気がします。
メーカーに電話でチェック
添付文書、インタビューフォームでわからない場合や、たぶん大丈夫だけど念のための確認など、次のステップがメーカーへの問い合わせですね。
添付文書の最後に記載があるお客様相談センターなどに問い合わせます。
ただ、ハッキリと「一包化は大丈夫です」と言ってくれるケースは稀ですね。不可の場合は割とハッキリ不可と言ってくれますが。
参考になるデータを紹介されて、あとは先生方の判断です、的なことを言われるパターンが多いです。
自分の場合はメーカー側から明確に「できます」と言ってくれる回答はあまり期待しないようにしてますので、「一包化して不備があったケースなどはありましたか?」とか、「一包化した事例などの情報はありますか?」などの聞き方をするようにしています。
薬剤師の掲示板でチェック
メーカーに聞いても判断しきれない場合とか、ダメっぽいけどどうしても患者さんから希望された、別の薬局では一包化してたけど本当はマズくね?とかの場合、最終的にはm3.comの「薬剤師の掲示板」も使ってます。(無料会員登録で見れます。)
過去の質問を見て同じケースで悩んでる薬剤師さんがいないかチェック、無ければ実際に質問して他の薬剤師さんの意見ももらったりしています。
個人的にはメトホルミンとオルメサルタンの一包化、スローケーの一包化などは経験したことがあります。
もちろん患者さんには一包化不適の旨を説明し、それでも強い希望があった際にできれば医師との薬効への影響などのコンセンサスを得てという経緯があってですが、それでも一包化するメリットの方が大きければ臨機応変に対応するのも薬剤師の職能を発揮する場面の一つと言えるかもですね。
主な薬剤の一包化の可否
最後に個人的な備忘録も兼ねて主な薬剤の一包化可否をまとめておこうと思います。
記載してない薬剤は可でも不可でもなく調べてないだけです。ご利用は計画的に。。。
薬剤名 (一般名) | 一包化の可否 | 添付文書の記載 |
アボルブカプセル (デュタステリド) |
× | 光及び湿気を避けるため、PTP包装のまま保存すること |
グルコバイ錠 (アカルボース) |
× | 吸湿性が強いのでPTPシートの状態で保存すること |
スローケー錠 (塩化カリウム) |
× | PTPシートから取り出して調剤しないこと |
アスパラカリウム錠 | × | 服用直前までPTPシートから取り出さないこと。 |
デパケン錠 (バルプロ酸ナトリウム) |
× | 本剤をPTPシートから取り出し一包化調剤することは避けて下さい |
タリージェ (ミロガバリンベシル酸塩) |
△ | 開封後、吸湿により錠剤表面に微細なくぼみが見られることがある |
ノイロトロピン (ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液) |
○ | 特異な成分臭を発生することがあるので、自動分包機等を使用する際には注意すること。 |
ベルソムラ錠 (スボレキサント) |
× | 光及び湿気を避けるため、PTPシートのまま保存し、服用直前にPTPシートから取り出すこと。 |
トビエース錠 (フェソテロジン) |
× | 湿気、高温を避けて保存し、服用直前にPTPシートから取り出すよう指導すること。 |
マドパー配合錠 (レボドパ・ベンセラジド) |
△ | アルカリ性薬剤との調剤(一包化)により、着色変化を起こすことがあるので注意すること。 |
メトグルコ錠+オルメテックOD錠 (メトホルミン+オルメサルタン) |
× | オルメサルタン メドキソミル製剤等との一包化は避けること。一包化して高温高湿度条件下にて保存した場合、本剤が変色することがある。 |
アサコール錠 (メサラジン) |
△ | 分包した場合には,湿気を避けて保存すること。なお,自 動分包機内での保存は避けること。 |
バファリン配合錠A81 (アスピリン・ダイアルミネート) |
× | 本剤は吸湿により分解されますので,アルミシートで包装された状態のままで患者に渡してください. |
プラザキサカプセル (ダビガトラン) |
× | 本剤は吸湿性があるので、服用直前にPTPシートから取り出すよう指導すること。また、アルミピロー包装注)のまま調剤を行うことが望ましい。 |
リアルダ錠 (メサラジン) |
× | 吸湿により溶出性に影響を及ぼすことがあるため、本剤をPTPシートから取り出し一包化調剤することは避けること。 |