内科や耳鼻科を中心に幅広く処方されるカルボシステイン製剤ですが、錠剤に関しては意外と大きくて飲みにくいとか言われることありますよね。
今回はムコダインをはじめとしたカルボシステイン製剤について半割の可否を確認してみました。
ムコダインは割線じゃなくて割線模様
まず、カルボシステイン製剤の代表であるムコダインの半割について。
ムコダイン錠500は割線あるし、半割余裕っしょ!と思ったあなた。
添付文書には「割線」の記載がなので、あれは割線模様のようです。割線じゃないんですね。
で、よく見てみると「フィルムコーティング錠」となっています。
引用:ムコダイン錠250mg/ムコダイン錠500mg 添付文書
というわけで安易に半割するのは少しためらわれます。
ただし、インタビューフォームをみると安定性もさほど問題なさそうです。フィルムコーティング錠の理由ははっきりしませんが、酸味があるからとかですかね?この点はわかったらまた追記したいと思います。
少なくとも添付文書・インタビューフォームからは半割を避けるべき内容はあまり無いように思えました。
ちなみに株式会社じほうが出版している「錠剤・カプセル剤 粉砕ハンドブック」では、製薬企業からの回答は「判定なし、または判定回避」の(ー)とされているが、著者判断では「粉砕・開封可」の(○)となっています。
粉砕が可能という判断なので、まぁ半割も大丈夫かなぁという判断になりそうです。
ただし、患者さんからムコダイン錠500を割って飲んで良いと聞かれたら?
添付文書やインタビューフォームから確実に良いと判断できない以上、「おすすめはしないけど効果や副作用の影響は少ないと思われる」くらいの回答が良いのかと思っています。
他のカルボシステイン錠を割るのは?
ムコダイン以外のカルボシステイン錠の半割はどうでしょうか。
ムコダイン錠のジェネリックはそんなに数も多く無いので、同じく添付文書・インタビューフォームを調べてみました。
薬剤名 | 組成・性状の抜粋 |
カルボシステイン錠250mg「テバ」 | フィルムコーティング錠 |
カルボシステイン錠500mg「テバ」 | 割線入りフィルムコーティング錠 |
カルボシステイン錠250mg「JG」 | フィルムコーティング錠 |
カルボシステイン錠500mg「JG」 | 割線入りフィルムコーティング錠 |
カルボシステイン錠250mg「TCK」 | フィルムコーティング錠 |
カルボシステイン錠500mg「TCK」 | フィルムコーティング錠 (割線入り) |
カルボシステイン錠250mg「サワイ」 | フィルムコーティング錠 |
カルボシステイン錠500mg「サワイ」 | 割線入りフィルムコーティング錠 |
カルボシステイン錠250mg「ツルハラ」 | フィルムコーティング錠 |
カルボシステイン錠500mg「ツルハラ」 | 割線入りフィルムコーティング錠 |
カルボシステイン錠250mg「トーワ」 | フィルムコーティング錠 |
カルボシステイン錠500mg「トーワ」 | 割線入りフィルムコーティング錠 |
というわけで、なんとジェネリックの500mg錠はすべて割線入りということでした(笑)。
これは先発のムコダインだと半割OKとはハッキリ言えないけど、ジェネリックならOKってことですかね…。
まぁカルボシステインなんで正直薬効的にもそこまで厳密じゃなくても良いのかもしれないですが。
カルボシステイン・ムコダインを半割しても自家製剤加算は取れない?
自家製は取れない、という認識でいます。
理由は500mg錠は最初から半分の規格の250mg錠があるから。
250mgは割線が無いから。
というわけで250mg、500mgともに割っても自家製は取れないのが現状は正解ですかね?
まぁ最近は割線がなくても取れる、レセプト通るみたいな話もありますが、一応、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」にはハッキリ「割線のある錠剤」と書かれているので取らない方が無難ですよね。
(11) 自家製剤加算
オ 割線のある錠剤を医師の指示に基づき分割した場合は、錠剤として算定する。ただし、
分割した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合は算定でき
ない。
令和2年3月5日 保医発0305第1号 別添3(調剤点数表)